甲羅 2018 3 17
欧米の中国に対する見方は、
今後、厳しくなると思われます。
日本においては、あまり報道されませんが、
政治や経済の分野において、
親日派よりも親中派のほうが圧倒的に多いという現状があります。
しかも、親中派には、大物の評論家や学者が多かったのです。
欧米の親中派の言い分は、この20年間、同じようなものでした。
「中国は、豊かになれば、やがて民主化される」
これをしつこいくらい主張していました。
一方、私は、10年以上前から、
「中国は、北朝鮮化する」と主張していました。
結果は、どうなったのか。
2018年3月11日の国際戦略コラム(No.5987)では、こういう記事があります。
「中国の全人代で、習近平国家主席の任期廃止で、
終生国家主席になることが確定した。
王岐山も副国家主席になり、
彼も終身職に就いて、汚職を取り締まることになる。
これで、中国は独裁国家になったことを意味する」
(引用、以上)
つまり、欧米の親中派は、
メンツを失うとともに、影響力も失いました。
一方、欧米の反中派は、復権したのです。
こうした国際情勢において、
中国は、活路を日本に求めるかもしれません。
つまり、反日が緩和されるということです。
さて、中国にも言い分があるかもしれません。
改革を断行するには、独裁が必要である。
確かに、発展途上国においては、
「開発独裁」という手法が成功した事例があります。
そうすると、中国は、まだ発展途上国なのか。
確かに、多数の国営企業とそれに密着する地方政府を見れば、
発展途上国を連想させます。
もうひとつ、中国が独裁化する理由があると思います。
すべての人民が、「もはや共産主義は役に立たない」と認識したことです。
さりとて、巨大国家を統制する組織がなくなれば、
中国は、散り散りばらばらになってしまうことも認識しています。
欧米から見れば、窮屈で重い「甲羅」を脱いだほうが楽になると思っていますが、
そもそも、亀が甲羅を脱いでしまったら、亀ではありません。
この20年間、世界で最も資本主義を発展させたのは、中国でした。
甲羅 2017 10 28
中国共産党を見ていると、
重くて窮屈そうな甲羅(共産党の伝統思考)を着た亀に見えてくる。
「そんな甲羅は脱いだ方が快適だから脱いじゃいなよ」と何度も勧めるが、
亀は、首を横に振って、こう答える。
「僕は、これを脱いだら亀じゃなくなっちゃうんだ」と。
(引用 津上俊哉氏の著書 「米中経済戦争」の内実を読み解く)
中国の最高指導部の人事が終わって、
多くのマスコミは、
「習近平氏の一強体制が強まった」と書いていますが、
実態は違うかもしれません。
急激な社会の変化を受けて、
中国共産党そのものが時代に適合しなくなったが、
崩壊を避けるために、
習近平氏の権威を高めて党の危機を乗り切るという趣旨かもしれません。
中国の驚異的な「経済発展」を考えれば、
さすがに、「中国共産党」という名称は古いでしょう。
とりあえず、党名の変更が生き延びる秘訣です。
この20年間で、世界で最も「資本主義」を発展させたのは、中国でした。